「昆虫の触角感覚系」の版間の差分

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===一般的な匂いの場合===
 
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ワモンゴキブリは、触角鞭節に匂い受容に特化した「棒状感覚子」「毛状感覚子」「錐状感覚子」の三種の形態学的に異なる嗅感覚子をもつ。嗅感覚子の表面には多数の小さな嗅孔が分布している。匂い物質は嗅孔を通過し、血リンパ液中に存在する結合タンパクを介して嗅感覚細胞の感覚繊毛に分布していうる嗅受容体へと届けられる。ワモンゴキブリでは嗅感覚細胞が匂い応答より8グループに分類できることが明らかになっている。特に、異なる種類の嗅感覚子に内在する嗅感覚細胞は異なる系統の匂い分子を受容することが知られており、これは嗅感覚細胞が発現している嗅受容体の種類の違いを反映していると考えられる
 
ワモンゴキブリは、触角鞭節に匂い受容に特化した「棒状感覚子」「毛状感覚子」「錐状感覚子」の三種の形態学的に異なる嗅感覚子をもつ。嗅感覚子の表面には多数の小さな嗅孔が分布している。匂い物質は嗅孔を通過し、血リンパ液中に存在する結合タンパクを介して嗅感覚細胞の感覚繊毛に分布していうる嗅受容体へと届けられる。ワモンゴキブリでは嗅感覚細胞が匂い応答より8グループに分類できることが明らかになっている。特に、異なる種類の嗅感覚子に内在する嗅感覚細胞は異なる系統の匂い分子を受容することが知られており、これは嗅感覚細胞が発現している嗅受容体の種類の違いを反映していると考えられる
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嗅感覚細胞は一次嗅覚中枢である触角葉を構成する糸球体へと投射する。ワモンゴキブリの触角葉は205個の糸球体から構成される。3種類の感覚子に内在する嗅感覚細胞は異なる糸球体グループに投射することより、触角上で受容された嗅覚情報は糸球体の空間的なパターンとして表象される。

2014年8月18日 (月) 09:24時点における版


動物は外界の環境情報を末梢にある感覚細胞によって受容し、脳内でこれらの情報を処理・統合し、さらに適切な行動として出力することにより、地球上のあらゆる環境下で繁栄してきた。このような環境情報は味覚、嗅覚、視覚、触角、聴覚などの感覚刺激として特定の器官で受容される。特に、昆虫の持つ二本の触角は多様な感覚情報を高感度で受容できる多機能センサーである。本稿では夜行性であり、昆虫の中でも発達した触角を持つワモンゴキブリ(Periplaneta americana)を例に昆虫の触角感覚系について解説する。

昆虫の触角

昆虫の触角は基部から柄節、梗節、鞭節からなる。鞭節はいくつかの節から構成され、昆虫種によって数や形が異なる。例えばショウジョウバエの鞭節は2節から構成されるのに対し、ワモンゴキブリの鞭節は150以上の節から構成される。柄節と梗節は主に自己感覚受容や触角運動に特化しているのに対し、鞭節は主に外界の感覚情報の取得に特化している。これらの感覚情報は触角の表面や内部に存在する感覚子によって受容される。個々の感覚子は各種感覚刺激を受容するために特殊化した形態のクチクラ装置をもち、クチクラ装置の内部には感覚情報を電気信号に変換し、脳へ伝達する感覚細胞が位置している。それぞれの感覚細胞は脳の特定の一次感覚中枢へと投射し、脳内で階層的に処理・統合される。次項からは各感覚情報が触角でどのように受容されるのか簡単に解説する。

嗅覚

一般的な匂いの場合

ワモンゴキブリは、触角鞭節に匂い受容に特化した「棒状感覚子」「毛状感覚子」「錐状感覚子」の三種の形態学的に異なる嗅感覚子をもつ。嗅感覚子の表面には多数の小さな嗅孔が分布している。匂い物質は嗅孔を通過し、血リンパ液中に存在する結合タンパクを介して嗅感覚細胞の感覚繊毛に分布していうる嗅受容体へと届けられる。ワモンゴキブリでは嗅感覚細胞が匂い応答より8グループに分類できることが明らかになっている。特に、異なる種類の嗅感覚子に内在する嗅感覚細胞は異なる系統の匂い分子を受容することが知られており、これは嗅感覚細胞が発現している嗅受容体の種類の違いを反映していると考えられる

嗅感覚細胞は一次嗅覚中枢である触角葉を構成する糸球体へと投射する。ワモンゴキブリの触角葉は205個の糸球体から構成される。3種類の感覚子に内在する嗅感覚細胞は異なる糸球体グループに投射することより、触角上で受容された嗅覚情報は糸球体の空間的なパターンとして表象される。